ミライでは「サードプレイス」という言葉が繰り返し語られます。家と学校に続く、生徒さんにとっての第三の居場所として、塾がありたい、という意味です。
言葉としては、聞いたことがある方も多いかもしれません。でもミライは、それを空間・会話・関係性の3層でかたちにしています。その積み重ねの先に、成績向上や逆転合格以外の価値を生む瞬間が、確かにあります。
「居場所」を、ミライはどう提供しているか
まず、物理的な空間で保証する

校舎によって差はありますが、ミライの校舎は自習席数を他法人のおおよそ倍まで拡充しています。加えて、他法人が運営する校舎では、そもそも休憩室を用意していないことも少なくないなかで、ミライは休憩室も広めに設けています。
会社の利益率という観点で言えば、単純に考えれば、1校舎の面積あたりに特訓席(直接収益につながる席)を多く置いたほうが、入塾生徒数も利益率も上がります。事実、他法人はそのように面積配分している校舎が多いと思います。
ミライはその選択を取っていません。自習席と休憩スペースに、しっかり面積を割く方針を貫いています。
これは、利益を削ってまで居場所を作るというスタンスではありません。先に環境をしっかり用意すれば、生徒さんからの評価が高まり、結果として校舎に生徒さんが集まる。目先の席数を増やして利益を取りに行くのではなく、まず give する側に徹底して立つ。その積み重ねの先にこそ、事業としての成果が返ってくると考えています。慈善事業ではなく、戦略的に give する側に立つという方針です。
挨拶だけでは終わらない、その先の会話にこだわる
空間を用意しただけでは足りません。そこで交わされる会話の質も、サードプレイスを成立させる要素です。
塾ですから、勉強の話をする、勉強の質問を受けることは当たり前です。ミライが大切にしているのは、勉強以外のことを、生徒さんがどれだけ心を開いて話してくれるか。これを真価としており、繰り返し社内でも話題となります。
生徒さんが来校した時、単に挨拶するだけで終わらせない。そこからもう一歩、プラスオンでどれだけ話せるか。友達のこと、趣味のこと、休みに何をしていたか。何気ない会話の積み重ねが、塾を「勉強を教える場所」から「第三の居場所」へ変えていきます。
ある日、親御さんが涙を流してくれた
空間を用意し、会話を重ねていく。その積み重ねの先に、いくつもの瞬間があります。
印象に残っているのは、不登校だったある生徒さんの話です。学校には通えていなかったその生徒さんが、「この校舎は通える」と感じてくれて、毎日来てくれるようになりました。
そのこと自体に、親御さんが感動して涙を流してくれたことがあります。お話をうかがって、ずっと親御さんもご自分だけで抱えていたんだな、と気づかされました。
成績が上がる、志望校に合格する、という価値はもちろん大きい。でも、生徒さんが毎日通える場所になれたこと、ご家族が少し肩の荷を下ろせたこと。そこにも確かな価値がある。その実感が、このエピソードで強く残りました。
成績UP、逆転合格以外にも、価値を感じてもらえる瞬間がある
サードプレイスが機能している時、メンバー側にも小さな実感が重なっていきます。
勉強と関係ない話を、生徒さんが自分から話してくれた時。友達とのこと、趣味のこと、休日の過ごし方。何気ない日常のシェアは、信頼が少しずつ積み重なっている証です。
悩みや苦しいことを相談してくれた時も同じです。心を開いてくれた、という感覚は、そこから強く立ち上がってきます。
成績向上や逆転合格という目に見える成果だけでなく、こうした瞬間にも価値を感じてもらえている。それがミライの仕事の手応えとして、もう一層深いところにあります。
寄り添いは簡単ではない、現実の難しさ
ここまで書くと、どの校舎でも綺麗に機能しているように聞こえるかもしれません。しかし、実際はそう単純ではありません。
距離感の難しさと、自己開示が先というルール
生徒さんとの距離の取り方で、踏み込みすぎ・遠すぎ、という迷いは実際によく起きます。特に入社したての頃は、うまくいかないメンバーも少なくありません。多くの生徒さんと接していく中で、自分なりの距離感を身につけていく、という壁の越え方になります。
加えて、寄り添いには隠れたルールがあります。まずはこちらが自己開示すること。自分から開かずに相手にだけ開かせる関係は、どんな相手でも成立しません。この、先にこちらから自己開示する、という順序が、サードプレイスを動かす軸になります。さらに、生徒さんごとに話題も変えていく。汎用のテンプレートでは届きません。
心を開いてくれない時は、相性とタイミングを見直す
挨拶+αの会話を続けても、生徒さんがなかなか心を開いてくれない時期もあります。空振りに感じる日もあります。
そういう時は、まず自分の対応を見直します。次に、どの教務・どの講師と相性が良さそうか、組み合わせを考えます。タイミングや話題の切り口も変えてみます。諦めずに改善をかけ続け、一人で抱え込まず、組織として相性マッチングを考えるなど、改善のサイクルを積み重ねていきます。
全てを抱える必要はない。できることとできないことを伝える
この進め方は、別記事『自分の校舎を、自分の会社として動かす』で扱っている、校舎長の経営判断の改善サイクル(仮説を立て、撤退ラインを引き、結果を数字で測って次に活かす)と、まったく同じ構造です。経営判断でも人間関係でも、ミライには同じ改善カルチャーが流れています。
家庭の問題、メンタル面、深刻な悩みが持ち込まれることもあります。そうした時、ミライは「全てを抱える必要はない」というスタンスをとります。
校舎としてできることは最大限やります。同時に、できないことはできないと正直に伝える。無理してまでやる必要はなく、メンバーが疲弊してしまうことは何より避けるべきだと、組織として自覚しています。サードプレイスは、全能の居場所ではありません。できる範囲のプロフェッショナルとして機能する居場所。その誠実さが、むしろ長く持続する信頼を支えています。
この仕事に手応えを感じる人・そうでない人
魅力を感じやすいのはこういう人
- 生徒さんの学力だけでなく、その先の人生に影響を与えるような体験・経験を届けたい人
- 相手に合わせて自己開示し、関係を築いていく仕事に価値を感じる人
- 結果が見えにくくても、日々の積み重ねを大切にできる人
- できることとできないことの線引きに、誠実でいられる人
別の働き方のほうが合う人もいる
一方で、「決まった業務を範囲内で着実に進めたい」「明確な成果指標の中だけで仕事したい」という方にとっては、サードプレイスを作るという仕事は、評価の基準が曖昧に感じられるかもしれません。その場合は、業務内容と成果の関係がはっきりしている職場のほうが、素直に合います。
「サードプレイス」を、ミライは空間で、会話で、関係で、そして現実の難しさの中で届けています。経営者として数字を動かす仕事と、生徒さんに伴走する仕事。この両方が、同じ1つの校舎長の中に同居しているのがミライです。
経営判断でも、人間関係でも、この会社には同じ文化が流れています。責めずに、原因を一緒に探って、次に翻訳する。それが、ミライの仕事を貫くカルチャーです。



